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休眠顧客へのテレアポ攻略法|トークスクリプト設計ガイド付き
「休眠顧客へ架電したものの、思うような成果が出なかった」「以前の担当者が退職しており、商談につながらない」
当社には、こうした休眠顧客へのアプローチに課題を感じている企業様からのご相談が寄せられることがあります。
休眠顧客へのアプローチは有効な手段ではあります。しかし、やり方を間違えると上手くいかずに徒労で終わってしまうケースもございます。
休眠顧客へのテレアポで成果が出ない要因は、リストの質でも担当者のトーク力でもありません。大きな要因として、休眠顧客向けのアプローチやトークを行っていない点があげられます。
特に多いのは、新規開拓と同じ設計のまま電話をかけているケースです。
休眠テレアポは新規テレアポの簡易版ではなく、目的も障壁も異なる別の手法です。
本記事では、休眠顧客を相手にテレアポする場合の攻略法を解説いたします。
【この記事の概要】
- 休眠顧客へのテレアポが新規開拓と決定的に違う3つのポイント
- 電話をかける前に必ず確認すべき3項目
- かけるべきではない相手の見極め方
- 休眠理由別に切り口を変えるトークスクリプト6パターン
- 担当者が異動・退職していた場合の対処法
- 電話固有のKPI設計と、成果が出ないときの原因特定の手順
休眠顧客へのテレアポは、新規テレアポと何が違うのか
休眠顧客とは、過去に取引や商談・問い合わせなどの接点がありながら、一定期間アクションが途絶えている顧客を指します。その定義や、メール・DM・ウェビナーを含めた掘り起こし手法全体の選び方、リスト整理の進め方については、別記事で体系的に解説しています。
【参考記事】休眠顧客の掘り起こしに有効な手法6選と休眠リストの整理方法など徹底解説
本記事では、休眠顧客の掘り起こしを、電話という手法でアプローチされる方向けに解説します。
新規テレアポとの決定的な違い3点
まず押さえておきたいのが、休眠顧客への電話は新規開拓の電話とは別物だという点です。違いは次の3つに集約されます。
| 観点 | 新規テレアポ | 休眠テレアポ |
| 会話の目的 | 認知の獲得 | 関係の再定義 |
| 情報 | Web上から得られる情報 | 過去の取引・失注理由が既知 |
| 最大の障壁 | 受付突破 | 担当者の異動・退職/記憶の風化 |
違い① 会話の目的
新規テレアポのゴールは「自社を知ってもらうこと」ですが、休眠テレアポのゴールは「途切れた関係をどう再構築するか」です。
相手にとっては、貴社のサービスから離れた理由が存在します。その理由を考慮せずに新商品を売り込めば、「変わっていないな」という印象だけが残ります。
違い② こちらが持っている情報
新規開拓では相手の課題をインターネットなどで調べて推測するしかありませんが、休眠顧客の場合は過去の商談メモ・購入理由・購入後の履歴・失注理由など様々な情報が残っています。これは強力な武器となりますが一方で、古い情報を最新のものとして扱うと、「うちの状況、全然分かっていないな」という失望を買ってしまいます。
そのため、過去の情報にプラスして休眠顧客の最新情報をホームページやプレスリリースなどから読み解くようにしましょう。
違い③ 乗り越えるべき障壁
新規テレアポの大きな壁は受付突破ですが、休眠テレアポの場合は担当者が異動・退職しているケースが大きな壁になります。
会社名を名乗れば取り次いでもらえる可能性は高いのに、自社を知っている肝心の担当者がもういない。このパターンが休眠テレアポ特有の難しさです。
失敗を回避する注意点
休眠テレアポで失敗例として多いのが、相手が自社を記憶している前提でトークを組み立ててしまうことです。
実際には、担当者の交代や記憶の風化により、実質的に新規開拓と同じ条件になっているケースが少なくありません。
休眠リストは一定の割合で担当者が異動や退職しています。そのため実質的に一定数は「社名だけが残った新規リスト」となります。
だからこそ、架電前に相手の在籍を確認する作業が必要になります。
休眠顧客のテレアポは、新規テレアポの簡易版ではありません。新規アポとは別の戦略と設計で臨む必要があると理解することが、大切です。
休眠顧客へのアプローチでテレアポが有用なケース
休眠顧客へのアプローチ手段は、メール・DM・ウェビナー招待・SNSなど複数あります。その中で、あえて電話を選ぶべきケースはどこにあるのでしょうか。
メールでは届かない層にアプローチできる
電話の一番の価値は、メールが届かない相手や読んでもらえない相手に直接リーチできることです。
休眠期間が長くなるほど、登録されているメールアドレスは失効していく確率が高まります。担当者が退職すればアカウントは停止され、配信エラーすら返らないケースもあります。一方で、企業の電話番号は長期にわたって変わりません。
もう一つの価値は、電話は得られる情報がメールより多い点です。メールは開封されなくても理由が分かりませんが、電話であればアポにならなくても、「担当者が退職した」「メールや番号が使われていない」「部署が消滅している」といった具体的な事実が判明します。そのため、リストの精度向上につながります。
電話が向く休眠顧客・向かない休眠顧客
ただし、すべての休眠顧客に電話が最適なわけではありません。次の基準を使って精査してください。
| 判断軸 | 電話が向く | メール等が向く |
| 商材の単価・複雑さ | 高単価・説明が必要な商材 | 低単価・定型的な商材 |
| 休眠期間 | 短期(6ヶ月〜1年) | 長期(2年以上) |
| リスト件数 | 少数精鋭(数十〜数百件) | 大量(数千件以上) |
| 休眠理由 | 不明・確認が必要 | すでに明確 |
| 過去の関係性 | 継続取引があった | 単発・問い合わせのみ |
特に重要なのがリスト件数です。電話は1件あたりの工数が大きいため、数千件のリストに全て架電するのは現実的ではありません。件数が多い場合は、メールで反応を拾ってから電話に絞り込む設計が合理的です。
件数が多い場合でも、予算を使って外注に架電業務をアウトソースできる場合は架電による手法を検討してみましょう。
架電リストの絞り込み|電話をかける前の3つの確認事項
休眠顧客の優先順位づけには、RFM分析(Recency・Frequency・Monetary)というフレームワークが有効です。その具体的な手順は別記事で解説しています。
🔵休眠顧客の掘り起こし記事内(RFM分析による優先度の決め方)
ここで説明するのは、RFMで優先グループを絞り込んだ後の工程です。そのリストに電話をかける前に、3つの確認が必要になります。
確認1|担当者は今もその会社にいるか
前述したとおり、休眠リストで多い障壁が「担当者の不在」です。架電前に、次の3点を確認し、事前に転職や異動をしていないか確認してください。
- 企業サイトのメンバーページ・お知らせ:役員や部門長であれば掲載されていることが多い
- ビジネスSNS:転職・異動の情報が本人によって告知されているケースがある
- 過去のメール送受信ログ:退職や異動のメールが届いている場合がある。過去にエラーが返っていれば退職の可能性が高い
すべて確認しても不明な場合は、「在籍不明」のフラグを立てたうえで架電します。
「在籍不明」または「在籍していない」が事前に念頭にあれば、架電時に焦ることなく対応できます。
確認2|電話番号は代表番号か、直通か
リストにある電話番号が代表番号なのか、担当者の直通・携帯なのかを分類します。
分類したら直通番号や携帯番号が残っているリストを優先しましょう。受付を経由せずに本人に連絡できるため、成功率に影響します。名刺データや過去のメール署名を掘り返せば、直通番号が載っているケースも珍しくありません。
代表番号しか残っていない場合は、受付突破のトーク設計が別途必要になります。これは後述します。本記事後半の『休眠テレアポで最も多い「担当者が異動・退職していた」への対処』をご覧ください。
確認3|前回の終わり方はどうだったか
過去の商談メモを開き、「どういう内容でどう終わったか」を必ず確認してください。ここが電話の切り出し方を方向づけます。
大きく分けると次の2つです。
- 自然消滅型:検討が長引き、いつの間にか連絡が途絶えた/担当者が変わって引き継がれなかった
- 明示的終了型:明確に断られた/他社導入が決まった/クレームがあった
自然消滅型は再アプローチのハードルが低く、明示的終了型はハードルが高くなります。
同じ「休眠顧客」でも、電話で話すべき内容や言葉を変える必要があります。
休眠期間とアポ獲得率の相関
「古い休眠顧客から着手すべきではない」というのは、掘り起こし施策の定石です。その理由は別記事で解説しています。詳しくは、以下の記事をご参照ください。
🔵(休眠顧客の掘り起こしに有効な手法6選記事内)失敗②:休眠期間が長い顧客からアプローチする
電話をかけてはいけない休眠顧客
休眠リストの中には、架電すること自体がリスクになる相手が混ざっています。電話はメールと違い、送信を取り消すことも読み飛ばしてもらうこともできません。次に該当する相手は、リストから除外しましょう。
- クレーム・トラブルで取引が終了した先:関係修復は電話ではなく、責任者による別の手続きが必要です
- 明確に「今後の連絡は不要」と意思表示があった先:BtoCの場合は法令上の問題にもなります
- 与信・支払いに問題があった先:営業部門の判断だけで再アプローチすべきではありません
- 競合他社に買収された、または競合と資本関係が生じた先:情報管理の観点から確認が必要です
「休眠顧客はかけていい」ではありません。かけない判断をすることも、休眠テレアポのポイントです。
休眠理由別|電話での切り口の変え方
休眠に至った原因の分類方法については別記事で解説しています。ここでは、分類済みの相手に電話で何と言うかという一点に絞ります。
以下、代表的な3パターンについて電話での切り口を解説します。
①他社に乗り換えた相手|比較を持ちかけない
他社製品を導入済みの相手に対して、いきなり自社との比較を持ちかけるのは逆効果です。導入を決めたのは相手自身であり、比較の提案は「あなたの判断は間違っていた」というメッセージに受け取られるリスクがあります。
有効なのは、導入後の運用実態を聞くアプローチです。この切り口の狙いは2つあります。
導入後のギャップを引き出す:どんな製品でも、導入前は見えなかった課題が運用開始後に浮かび上がることがあります。そのギャップを聞き出すことで、自社の強みが刺さる余地を探ります。
更新時期を把握する:「次のご更新はいつ頃のご予定でしょうか」と聞けば、次回アプローチのタイミングが確定します。今回はアポにならなくても、更新の3ヶ月前に再架電すれば状況は変わります。
比較を持ちかけず、更新時期の把握を当面のゴールに設定しています。今すぐの受注は狙わず、次の商機のタイミングを確定させることを成果とみなしてコミュニケーションを取ります。
②自然消滅した相手|成功率が高い理由
検討が長引いてそのまま連絡が途絶えた相手は、休眠リストの中で再アプローチの成功率が比較的高い層です。
理由は単純で、この層は明確に自社を拒否したわけではないからです。予算期のズレ、社内の優先順位変動、担当者の多忙など、こちらへの評価とは無関係の理由で連絡が止まっているケースが少なくありません。
この層への電話では、「あのとき止まったのは何が理由だったか」を素直に聞くのが有効です。相手にとっても中途半端に終わった案件であり、経緯を説明することで「自然消滅した後ろめたさ」が軽減される側面があります。そのうえで、止まった理由が現在は解消されている可能性を提示します。
この層は唯一、クロージングでアポを直接打診できるパターンです。「なぜ止まったか」を素直に聞ける関係性が残っているのが、このパターンの強みです。
③担当者が変わった相手|過去の話は必要最小限に
後任者にとって前任者の案件は、引き継ぎ内容の1つに過ぎません。過去の関係や内容を強調されても、新しい担当者には関係がありません。
有効なのは、過去に取引があった事実だけを軽く触れて、すぐ現在の体制や状況を尋ねる構成です。「以前ご縁がありまして」で留め、そこから「現在はどのような体制でいらっしゃいますか」など、今の相手に関心を向ける。実質的には新規開拓のトークに近づけたほうが、後任者との会話は成立します。
休眠顧客へのテレアポ実行4ステップ
ここからは、架電当日の動きを4つのステップで整理します。
ステップ1|架電の目的を「受注」ではなく「現状確認」に設定する
休眠テレアポで最初につまずくのは、電話をかける側の心理です。「一度断られた相手にまた電話をするのは気が重い」
この抵抗感が、不自然に明るい第一声や、逆に歯切れの悪い切り出しにつながります。
これを解消する方法は、目的の再設定です。この電話のゴールを「アポを取ること」ではなく「相手の現状を確認すること」に置き直してください。
現状確認であれば、売り込みではなく確認業務になります。相手にとっても構えずに応じられる要件になり、こちらも堂々と名乗れます。結果的にアポ率も上がります。
ステップ2|1件あたり3分の事前インプットを行う
架電前に、次の4点に目を通してください。1件あたり3分で十分です。
- 過去の商談メモ:どんな課題を話していたか、どこで止まったか
- 最終取引の内容:何を、いつ、いくらで導入していたか
- 企業の直近ニュース:組織変更・新規事業・採用動向など会話の糸口になる情報
- 自社商材の変更点:前回提案時から何が変わったか
特に4番目が抜けがちです。相手が離れた理由が、すでに解消されているケースは珍しくありません。価格改定、機能追加、サポート体制の変更——これらは相手にとって「電話を受けてよかった」と思える情報になります。
ステップ3|事前の1通で「初めまして」を回避する
架電の前にメールを1通送っておくと、電話がつながった後の会話が変わります。
ここでは、メールの有無で電話の第一声がどう変わるかを示します。
メールを送っている場合
「先日、◯◯の件でメールをお送りした△△社の□□と申します。ご覧いただけましたでしょうか」
この入り方の強みは、相手が「見ていない」と答えても会話が続く点です。「お忙しいところ恐れ入ります、要点だけ30秒でお伝えします」と自然に本題へ移れます。
メールを送っていない場合
「◯年ほど前に△△の件でお世話になりました□□と申します。その後の状況を確認させていただきたくご連絡しました」
メールがない場合は、過去の接点を具体的に特定できる情報を第一声に入れることが重要です。「以前お世話になりました」だけでは、相手は誰か分からず警戒します。時期・案件名・前任者の名前のいずれかを添えてください。
なお、メールアドレスが失効している相手には事前接触ができません。休眠リストの一定割合はこのケースに該当するため、メールなしパターンのトークも必ず用意しておく必要があります。
ステップ4|架電後30秒でCRMに残す
アポにならなかった架電こそ、記録に価値があります。電話を切ったら、30秒以内に、次の5項目を残してください。
| 記録項目 | なぜ必要か |
| 次回架電の可否 | 再勧誘禁止の対象かどうかの判断材料になる |
| NGの場合はその理由 | 「今は不要」と「二度と連絡不要」は扱いが違う |
| 現在の利用状況 | 他社導入の有無・契約更新時期 |
| 再接触の希望時期 | 「来期なら」という一言が次の商機になる |
| 担当者情報の更新 | 異動先・後任者名は次回以降の資産になる |
この記録が蓄積されると、次のクールの架電精度が大きく変わります。1回目の架電は、2回目の架電のための調査でもあると考えてください。
休眠顧客テレアポのトークスクリプト
ここからは実際のトーク例です。読み上げやすいよう、話し言葉で記載しています。
全パターン共通|冒頭15秒で伝えるべき3要素
休眠テレアポの成否は、最初の15秒でほぼ決まります。次の3要素を必ず含めてください。
- 名乗り:会社名と氏名。早口にならないよう注意
- 過去の接点の特定:いつ、何の件で関わったか
- 今日かけた理由:なぜ今かけたのかをシンプルに伝える
3つ目が抜けると、「なぜ今さら」という疑問が残ったまま会話が進みます。理由は大げさである必要はなく、「サービス内容が少し変わったため」「当社の担当が替わったため」といった簡単な事実で構いません。
共通の冒頭テンプレート
「お世話になっております。△△株式会社の□□と申します。◯年ほど前に、◯◯の件でご担当の△△様とお話をさせていただいておりました。その後のご状況を確認させていただきたく、ご連絡いたしました。今、2〜3分お時間よろしいでしょうか」
このトークの意図:「ご状況を確認させていただきたく」という表現が要です。営業ではなく確認という枠組みを提示することで、相手は断る理由を持ちにくくなります。また所要時間を先に伝えることで、心理的な負担を下げています。
パターン1|不満があって離れた相手
フロント「その後、◯◯の運用はいかがでしょうか。以前、△△の点でご不便をおかけしていたかと存じますが」
ヒアリング「差し支えなければ、当時どのあたりが一番使いづらかったか教えていただけますか。今後の改善の参考にさせていただきたく」
提案への転換「実はその点、昨年に仕様を変更しておりまして、現在は△△のような形になっています」
クロージング「変更点をまとめた資料がございますので、お送りしてもよろしいでしょうか。お目通しいただいたうえで、必要でしたら改めてご説明にうかがいます」
このトークの意図:謝罪ではなく確認から入り、相手に不満を言語化してもらいます。そのうえで改善済みの事実を伝えるため、謝罪が「言い訳」ではなく「報告」として機能します。クロージングは資料送付という低いハードルに設定し、アポは次段階に譲っています。
パターン2|ニーズがなくなって離れた相手
フロント「当時は◯◯の課題でご検討いただいていたかと思いますが、その後、体制などお変わりございましたか」
ヒアリング「現在は△△の業務はどちらのご部署で対応されているのでしょうか」
提案への転換「実は最近、□□という別の切り口でご相談をいただくことが増えておりまして。御社の場合ですと、△△のあたりが該当しそうかと思ったのですが、いかがでしょうか」
クロージング「もし少しでもお心当たりがあれば、事例だけでもご覧いただければと思います」
このトークの意図:過去のニーズは消滅している前提で、別の課題を探しにいく構成です。同じ商材でも訴求する用途を変えれば刺さる可能性があります。相手の組織体制を聞くことで、担当部署の移管も同時に把握できます。
パターン3|他社に乗り換えた相手
フロント「その後、◯◯のご運用は落ち着かれましたでしょうか」
ヒアリング「導入から少し時間が経つと、当初は想定されていなかった部分が出てくることも多いのですが、そのあたりはいかがですか」
情報取得「差し支えなければ、次のご更新はいつ頃のご予定でしょうか」
クロージング「でしたら、その少し前にまたご連絡させていただければと思います。それまでの間、参考になりそうな事例があればお送りしてもよろしいでしょうか」
このトークの意図:比較を持ちかけず、更新時期の把握を当面のゴールに設定しています。今すぐの受注は狙わず、次の商機のタイミングを確定させることを成果とみなす構成です。相手の判断を否定しないため、関係を悪化させません。
パターン4|検討が長引いて自然消滅した相手
フロント「◯年前に△△の件でご検討いただいていた件、その後どうなりましたでしょうか」
ヒアリング「当時、社内でのご検討が止まってしまった理由って、何かございましたか」
提案への転換「なるほど、その点でしたら現在は△△という形でご提供できるようになっています」
クロージング「一度、現状に合わせて改めてご提案させていただけませんか。30分ほどオンラインでお時間いただければと思います」
このトークの意図:この層は成功率が高いため、クロージングでアポを直接打診しています。「なぜ止まったか」を素直に聞ける関係性が残っているのが、このパターンの強みです。
パターン5|予算・タイミングが合わなかった相手
フロント「以前ご検討いただいた際、ご予算の面で折り合わずという形だったかと存じます」
ヒアリング「御社の予算のご検討時期は、例年いつ頃になりますでしょうか」
提案への転換「実は当時からプランが増えておりまして、◯◯という形でしたら以前の水準より抑えられるかと思います」
クロージング「ご検討時期の少し前に、比較しやすい形で資料をお送りしてもよろしいでしょうか」
このトークの意図:予算検討時期の把握が最大の成果です。価格は下げなくても、予算策定のタイミングに情報を届けられれば、次回の土俵に乗ります。安易な値引き提示は避け、プランの選択肢として提示しています。
パターン6|担当者が変わっている場合
受付・別担当者に対して「お世話になっております。△△株式会社の□□と申します。以前、◯◯の件で△△様にお世話になっておりました。△△様は現在もそちらのご部署でいらっしゃいますでしょうか」
後任者につながった場合「お忙しいところ恐れ入ります。以前、△△様とご縁がありました□□と申します。現在は御社の◯◯まわりはどのような体制で進めていらっしゃいますか」
このトークの意図:後任者に対しては、過去の話を1文で切り上げ、すぐ現在の体制を尋ねる構成です。前任者の名前は「怪しい電話ではない」という証明として使うだけで、話の中心には据えません。実質的に新規開拓のトークに近づけています。
休眠テレアポで最も多い「担当者が異動・退職していた」への対処
休眠テレアポで頻繁に起こるのが、目当ての担当者がすでにいないという事態です。ここで会話を終わらせてしまうか、次につなげられるかで、リストの価値は大きく変わります。
後任者につないでもらうための受付トーク
まず第一に、前任者が不在だと分かった時点で、「失礼しました」と電話を切ってしまう事だけは避けましょう。受付側にとっては、前任者の名前を出せる相手は不審な電話ではありません。
前任者が退職済みだと分かったら、以下のように受付の方にお願いしてみましょう。
「そうでしたか、承知いたしました。それでは恐れ入りますが、現在◯◯の件をご担当されている方をお取り次ぎいただくことは可能でしょうか」
「そうでしたか、承知いたしました。それでは恐れ入りますが、現在◯◯の件を引き継がれている後任者の方をお取り次ぎいただくことは可能でしょうか」
ポイントは、業務内容を伝え、後任者に繋いでもらうことです。「◯◯部門のご担当者様」という指名は受付にとって取り次ぎ判断がしやすく、通過率が上がります。
事前に前任者の所属部署が分かっていれば、部署名を頭に入れておきましょう。
前任者の異動先が社内であれば、それも確認しておきましょう。異動先の部署で別の商談が生まれる可能性もあります。
担当者不在を「新規リード獲得」に転換する考え方
発想を変えると、担当者の異動は接点が1つ増える機会です。
前任者が社内の別部署に異動していれば、その部署で新たな商談が生まれる可能性があります。他社へ転職していれば、転職先が新規のアプローチ先になります。すでに関係のある人物が別の場所にいるというのは、通常の新規開拓では得られない条件です。
そのためにも、架電記録に「異動先」の欄を設けておくことをおすすめします。1件の架電から、休眠顧客の後任者と、前任者の異動先という2つのリードが生まれます。
休眠顧客へのテレアポで注意すべき法規制とリスク管理
電話でのアプローチには、メールとは異なる法規制が適用されます。ここを押さえずに運用すると、法的リスクだけでなくブランド毀損にもつながります。
BtoCの場合|特定商取引法の電話勧誘販売規制
一般消費者に対して電話で勧誘を行い、契約の申し込みを受ける行為は、特定商取引法の「電話勧誘販売」に該当します。休眠顧客であっても、この規制は適用されます。
再勧誘の禁止(法17条)と、記録の残し方
特定商取引法17条により、契約を締結しない意思を表示した相手に対して、勧誘を続けたり、改めて勧誘したりすることは禁止されています。
実務上の問題は、「断られた」の程度をどう記録するかです。「今は忙しい」と「今後一切連絡は不要」はまったく意味が異なりますが、架電記録では同じ「NG」に丸められがちです。
対応として、CRM上でNGの区分を最低2段階に分けてください。
- タイミングNG:今は不要だが、時期を改めれば可能性がある
- 完全NG:今後の連絡を明確に拒否された
完全NGに区分された相手は、リストから物理的に除外する運用が安全です。担当者が交代しても再架電が起こらない仕組みにしてください。
勧誘に先立つ氏名等の明示義務(法16条)
同法16条により、電話勧誘販売を行う事業者は、勧誘に先立って事業者の氏名または名称、勧誘を行う者の氏名、販売しようとする商品等の種類、勧誘目的である旨を告げる義務があります。
前章で紹介した冒頭トークが、この要件を満たす構成になっているか確認してください。BtoC向けに運用する場合は、「ご案内のお電話です」といった目的の明示を冒頭に加える必要があります。
BtoBの場合|原則として適用除外だが、注意は必要
特定商取引法26条により、営業のためにまたは営業として行う取引、いわゆる事業者間取引は適用除外とされています。したがって、法人顧客への休眠テレアポは電話勧誘販売の規制対象外となるのが原則です。
ただし、次のような場合ではトラブルになるケースがあるため注意が必要です。
- 相手が個人事業主で、事業用と私用の区別が曖昧な商材である場合
- 副業・兼業などの個人を顧客に含んでいる場合
- 名目上は法人契約だが、実質的に個人の消費に近い商材である場合
自社の顧客リストにこうした層が含まれる場合は、BtoC基準での運用を検討してください。具体的な線引きについては、消費者庁の特定商取引法ガイドを確認のうえ、顧問弁護士にご相談ください。
個人情報保護法|取得時の利用目的の範囲内か確認する
見落とされがちなのが、そのリストは何の目的で取得したものかという点です。
個人情報保護法上、取得時に本人へ通知・公表した利用目的の範囲を超えて個人情報を扱うことはできません。数年前に「サポート連絡のため」として取得した連絡先を、営業目的の架電に使ってよいかは確認が必要です。
自社のプライバシーポリシーと、当時の取得画面・申込書の記載内容を照合してください。
クレームを招かないための3つの社内ルール
法令遵守とは別に、運用面で次の3点をルール化しておくことをおすすめします。
- 同一先への架電は月1回までとする:短期間に複数回かけると、相手に不快感を与えます
- NG登録は担当者の判断で即時反映できるようにする:承認を挟むとリストやCRMへの反映が遅れ、再架電のクレームに発展します
- クレーム発生時のエスカレーション先を事前に決めておく:架電担当者が個人で抱え込む状況を作らないようすぐに相談できる社内体制を構築しておきましょう
成果を測るKPIと、改善の回し方
「休眠顧客のテレアポをやってみたが、PDCAの方法が分からない」
こうなる原因は、KPIをアポ獲得数だけで見ていることにあります。
休眠テレアポで見るべき4つのKPI
電話という手法では、次の4指標を分けて計測してください。
| KPI | 定義 | 低いときの改善対象 |
| コール数 | 架電した件数 | リスト量・架電体制・稼働時間 |
| 接続率 | 誰かにつながった件数÷コール数 | 架電の時間帯・曜日・番号の鮮度 |
| 担当者接触率 | 担当者本人に届いた件数÷接続数 | 受付トーク・事前接触・在籍確認 |
| アポ率 | アポ獲得数÷担当者接触数 | トークスクリプト・オファー内容 |
重要なのは、アポ率を「コール数に対する率」で見ないことです。コール数に対する率で見ると、接続率の問題なのか会話の問題なのかなど課題が区別できません。
どのKPIが低いかで、打ち手はまったく変わる
成果が出ないとき、次の順序で原因を特定してください。
接続率が低い場合
架電の時間帯と曜日を見直します。法人であれば始業から1時間後と、14時から16時台が比較的つながりやすいとされています。ただしこれは一般則であり、業種によって大きく異なります。自社の架電ログを時間帯別に集計し、実測値で判断してください。あわせて、番号が現在も有効かどうかの確認も必要です。
担当者接触率が低い場合
受付での取り次ぎで止まっています。担当者名ではなく業務内容で指名する、事前にメールを送っておく、直通番号を持つリストを優先するといった対策が有効です。担当者の異動・退職が原因の場合は、前章の対処法を運用に組み込んでください。
アポ率が低い場合
会話そのものに課題があります。トークスクリプトが休眠理由別に分岐しているか、冒頭15秒に3要素が入っているか、クロージングのハードルが高すぎないかを確認してください。特に、資料送付で十分な相手にいきなり商談を打診していないかは要チェックです。
自社で回すか、テレアポ代行に任せるかの判断基準
休眠テレアポは、自社で実施する場合と外部に委託する場合で向き不向きがあります。
自社実施が向いているケース
商材が複雑で説明に専門知識が必要な場合、既存顧客との関係性が深く社内の文脈を要する場合、CRMが整備されていて過去の商談内容をすぐ参照できる場合です。休眠テレアポは過去の文脈が武器になるため、その文脈を持つ自社メンバーが強みを発揮しやすい領域といえます。
外注が向いているケース
テレアポ代行など外注に委託するのが良いケースは、以下のような場合です。
- リスト件数が多く社内のリソースが足りない場合
- 短期間で母数を確保したい場合
- 社内に架電のノウハウが蓄積されていない
委託先を選ぶ際に確認したい4点
- 休眠リストへの架電実績があるか(新規開拓の実績とは別物です)
- トークスクリプトの設計を委託先が行うのか、自社が用意するのか
- アポにならなかった架電のヒアリング内容がフィードバックされるか
- 成果報酬型の場合、「アポ」の定義が明確か
3つ目は特に重要です。休眠テレアポの価値はアポ獲得だけでなく、休眠理由という情報の取得にもあります。この情報が返ってこない契約では、リストが消費されるだけになります。
当社スリーピースでは休眠顧客のテレアポ代行支援も行っております。
お気軽にお問い合わせください
【BtoB向け営業支援サービス】https://3peace-jpn.com/services/b2b-support/
休眠顧客へのテレアポに関するよくある質問
Q.何ヶ月連絡がなければ休眠顧客と判断すべきですか?
商材の購買サイクルによって異なりますが、テレアポの観点では最終接触から6ヶ月を過ぎた時点で休眠として扱い、優先的に架電することをおすすめします。担当者の在籍状況や記憶が保たれているうちに接触したほうが、会話が成立しやすいためです。休眠の定義そのものについては、業態別の目安を別記事で解説しています。
Q.一度断られた相手にもう一度電話をかけても問題ありませんか?
BtoCの場合、契約しない意思を明確に表示された相手への再勧誘は特定商取引法17条で禁止されています。一方、「今回は見送る」というタイミング上の断りであれば、期間を空けての再接触は可能です。断りの内容を区別して記録する運用を必ず整えてください。BtoBは原則として同法の適用除外ですが、頻繁な架電は関係悪化を招くため、月1回程度を上限とすることをおすすめします。
Q.休眠顧客へのテレアポのアポ獲得率の目安は?
商材・単価・休眠期間によって大きく変動するため、一般的な目安値を基準にすることはおすすめしません。自社の新規リストへの架電成果と比較して評価するのが実務的です。同じチーム・同じ期間で新規と休眠を並行して回し、接続率・担当者接触率・アポ率をそれぞれ比較してください。
Q.メールと電話、どちらを先に送るべきですか?
メールを先に送り、開封が確認できた相手に電話をかける順序が効率的です。ただし休眠リストではメールアドレスが失効しているケースが一定割合あり、その場合は電話が唯一の接点になります。メールありとメールなしの2パターンのトークを用意しておくことをおすすめします。
Q.担当者の名前も分からない古いリストはどう扱えばいいですか?
社名と代表番号しか残っていないリストは、実質的に新規開拓に近い条件です。休眠テレアポの優先度としては最下位に置き、リソースに余裕があるときに着手してください。ただし架電する場合は、過去の取引実績という切り口が使えるため、完全な新規よりは取り次ぎ率が高くなります。
まとめ
休眠顧客へのテレアポは「関係の再定義」から始まる
休眠顧客へのテレアポで成果が出ない最大の原因は、新規開拓と同じ設計のまま電話をかけていることです。
休眠テレアポの目的は認知の獲得ではなく、途切れた関係を構築し直すかが重要です。そのために必要なのは、声のトーンでも架電件数でもなく、相手が離れた理由に応じて切り口を変えるトーク設計です。
最後に、明日から着手できる3つのアクションをまとめます。
- 休眠リストの上位20件について、担当者の在籍・番号の種別・前回の終わり方の3点を確認する
- 休眠理由ごとに切り口を分けたトークを用意し、20件に架電する
- 接続率・担当者接触率・アポ率の3指標を記録し、1週間後にどこが詰まっているかを特定する
まずは20件トライしてみましょう。ここで得られる休眠理由が、その後のリストへの精度を決めます。