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営業課題の見つけ方|5ステップと対策方法を解説

「売上が伸び悩んでいる」「営業成果がなかなか上がらない」と感じていても、何が原因なのか分からず、具体的な改善策を打ち出せずに悩んでいる企業は少なくありません。

営業課題を解決するためには、思いつきや経験だけで原因を判断するのではなく、課題を正しく把握することが重要です。営業課題の見つけ方は、「数字」「現場」「顧客」という3つの視点から営業活動を客観的に分析することがポイントです。

本記事では、営業課題の見つけ方を分かりやすく解説するとともに、課題を特定するための具体的な手順や改善のポイントをご紹介します。

  • 営業課題の見つけ方でつまずきやすいポイントとその理由
  • 自社の課題を体系的に洗い出す5つのステップ
  • 「新規開拓が伸びない」「成約率が低い」など症状別のチェックリスト
  • 3C分析やロジックツリーなど、課題の原因分析に使えるフレームワークの使い分け方
  • 見つけ方でよくある3つの失敗パターン

自社の営業課題を「なんとなく」ではなく、根拠を持って特定し、改善に着手できる状態になります。

営業課題の見つけ方が難しい理由

営業課題の見つけ方が難しいのは、「感じている問題」と「本当の課題」がずれやすいためです。まずこのズレの正体を理解しておくと、以降のステップの精度が大きく変わります。

本質的な課題と現場が考える課題のズレ

多くの現場で語られる「問題」は、実は課題そのものではなく、課題によって引き起こされた症状であるケースがほとんどです。

たとえば「若手が育たない」という声は事実かもしれませんが、その背後には「教育担当者が営業活動と兼務で時間が取れない」「評価基準が曖昧で何を目指せばよいかわからない」など、複数の要因が隠れていることがあります。症状だけを見て対策を打つと、根本原因に手が届かず、同じ問題が形を変えて再発します。

このズレが起きる主な原因は3つです。

  • 声の大きい人・目立つ事例に引っ張られ、全体像を見ずに判断してしまう
  • 数字(データ)だけを見て、現場の実感や背景事情を確認しないまま結論を出す
  • 逆に、現場の声だけを鵜呑みにして、客観的な数字での裏付けを取らない

見つけ方を誤ると起こる悪循環

課題の特定を誤ると、対策は「対症療法」で終わります。

たとえば成約率の低下を「営業担当者のスキル不足」と決めつけて研修を実施しても、実際の原因が「見込み度の低い顧客への非効率なアプローチ」であれば、成果は改善しません。

改善しない状態が続くと、現場は「対策をしても変わらない」という無力感を抱き、次の課題発見や改善提案そのものに消極的になります。営業課題の見つけ方を最初に丁寧に押さえておくことが、遠回りに見えて最短ルートになる理由はここにあります。

営業課題を見つける前に押さえたい3つの視点

課題を洗い出す際は、次の3つの視点を意識的に使い分けることで、偏りのない発見ができます。

数字(データ)の視点

課題を探る上でまず見るべき数字は、売上・成約率・商談化率・顧客単価などの定量データです。

数字は、感覚に頼らず、目標と実績のギャップや、時系列での変化を客観的に確認することができます。一方で、「なぜその数字になっているのか」という背景までは教えてくれません。

人(現場の声)の視点

次に考えるのは、営業担当者やマネージャーが日々の業務で感じている実感です。数字には表れにくい「商談前の準備に時間がかかりすぎている」「ツールが使いにくく入力が形骸化している」といった課題を拾えます。

ただし、個人の主観や感情が混ざりやすいため、複数人からの声を集めて共通点を見極める必要があります。

顧客(外部)の視点

3つ目は、顧客からのフィードバックや、失注・解約の理由を分析します。自社内では気づきにくい「競合と比較して劣っている点」「提案のタイミングのズレ」など、外部から見た自社の課題が見えてきます。

この3つはどれか1つだけで判断すると精度が落ちます。次章の5ステップでは、この3つの視点を組み合わせながら課題を洗い出す具体的な手順を紹介します。

【実践】営業課題の見つけ方 5ステップ

ここからが本記事の核となる部分です。営業課題の見つけ方を、実際に着手できる順番に沿って5つのステップに整理しました。上から順に進めることで、思い込みによる誤った診断を避けられます。

ステップ1:目標と実績のギャップを数値化する

最初に行うべきは、目標と実績の差を具体的な数字で可視化することです。「達成できていない」という感覚だけでなく、「目標に対して何パーセント不足しているか」「どの月・どの商品で差が大きいか」まで分解します。

売上全体だけでなく、新規顧客数・既存顧客の継続率・平均単価など複数の指標に分けて見ることで、どこにギャップが集中しているかが見えてきます。

ステップ2:営業プロセスを分解し、ボトルネックの段階を特定する

営業活動を「リード獲得→初回接触→商談→提案→クロージング→受注」のように段階(ファネル)に分解し、各段階の転換率を確認します。

たとえば「商談数は十分だが、提案後の受注率が極端に低い」のであれば、課題は提案内容やクロージングの精度にある可能性が高く、「そもそも商談の数自体が少ない」のであれば、課題はリード獲得やアプローチの手前にあると判断できます。数字だけを見るのではなく、どの段階で歩留まりが悪化しているかまで特定することがポイントです。

ステップ3:現場ヒアリングで「数字に出ない課題」を拾う

データで当たりをつけたら、現場の営業担当者やマネージャーへのヒアリングで裏付けを取ります。1on1や匿名アンケートを通じて、次のような問いを投げかけると具体的な声が集まりやすくなります。

  • 商談前の準備で最も時間がかかっている作業は何か
  • 断られる理由として最も多いと感じるものは何か
  • 現在のやり方で「非効率だ」と感じている業務は何か

ここで重要なのは、特定の担当者の意見だけで判断しないことです。複数人から同じような声が挙がる項目こそ、組織的な課題である可能性が高いと言えます。

ステップ4:顧客・失注データから外部視点の課題を洗い出す

自社内だけでは気づけない課題を補うために、顧客側の視点を取り入れます。失注理由や解約理由の記録を分析し、「価格」「機能」「対応スピード」「競合への乗り換え」など、理由をカテゴリーごとに集計します。

可能であれば、失注した顧客や解約した顧客に直接ヒアリングを行うと、記録だけでは見えない本音に近い情報が得られます。特に「言われてみれば当たり前だが、社内では誰も指摘していなかった」という課題は、この外部視点から見つかることが多い傾向にあります。

ステップ5:洗い出した課題を分類し、優先順位をつける

ステップ1〜4で出てきた課題を並べると、多くの場合10個以上のリストになります。すべてに同時に着手するのは現実的ではないため、次の2軸で分類し、優先順位をつけます。

  • 影響度:売上や成約率にどの程度インパクトを与えているか
  • 緊急度:放置した場合にどれだけ早く悪化するか

影響度・緊急度がともに高い課題から着手することで、限られたリソースでも成果につながりやすくなります。優先順位づけの具体的な考え方は、後述する「アイゼンハワーマトリクス」でも詳しく解説します。

課題の原因分析に役立つフレームワーク6選と使い分け方

課題の候補が出そろったら、原因をより構造的に掘り下げるためにフレームワークを活用します。ここで重要なのは、フレームワークを暗記することではなく、今の自分の状況にどれが合っているかを判断できることです。

3C分析:外部要因と内部要因を切り分けたいとき

Customer(顧客)・Company(自社)・Competitor(競合)の3つの視点で状況を整理するフレームワークです。「顧客の行動が変化しているのに自社の営業手法が追いついていない」「競合がオンライン対応を強化しているのに自社は対面中心のまま」など、外部環境の変化と自社の対応のズレを可視化したいときに向いています。

ロジックツリー・MECE:課題を構造的に分解したいとき

大きな課題を「モレなく、ダブりなく」枝分かれさせて分解していく手法です。「成約率が低い」という大きな課題を「商談前の見込み度評価」「提案内容」「クロージング手法」のように要素分解していくことで、対策すべき具体的なポイントに落とし込めます。課題が漠然としていて、どこから手をつければよいかわからない段階に有効です。

SWOT分析:自社の強み・弱みから洗い出したいとき

Strength(強み)・Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)の4象限で自社を整理する手法です。自社の営業組織全体を俯瞰し、内部の弱みと外部環境の脅威が重なる領域を特定したいときに向いています。

アイゼンハワーマトリクス・PDCA:優先順位づけと改善サイクルを回したいとき

アイゼンハワーマトリクスは、課題を「重要度」と「緊急度」の2軸で4象限に分類し、着手順を決める手法です。ステップ5で紹介した優先順位づけの実務的なツールとして活用できます。優先順位が決まった後は、PDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルで継続的に改善を回していきます。

SPIN・BANT:商談の中で「顧客の課題」を引き出したいとき

ここまで紹介したフレームワークは、いずれも自社の営業組織にある課題を見つけるためのものです。

一方でSPIN話法やBANT条件は、営業担当者が商談の場で顧客自身の課題を引き出すためのフレームワークであり、目的が異なります。

SPIN話法は、状況質問・問題質問・示唆質問・解決質問という4種類の質問を通じて、顧客自身が気づいていない課題を言語化していく手法です。BANT条件は、Budget(予算)・Authority(決裁権)・Needs(必要性)・Timeframe(導入時期)の4つの観点で、商談の見込み度を評価する際に使われます。

「営業課題の見つけ方」と検索する際、この2つの意味が頭の中で混同されやすいため、自社の課題を探しているのか、商談相手の課題を探しているのかを、まず整理しておくと迷いがなくなります。

フレームワーク使い分けマップ

目的おすすめのフレームワーク向いている場面
外部要因と内部要因を切り分けたい3C分析市場・競合の変化と自社対応のズレを確認したいとき
課題を構造的に分解したいロジックツリー・MECE課題が漠然としていて要素分解が必要なとき
自社の強み弱みから洗い出したいSWOT分析組織全体を俯瞰して評価したいとき
優先順位をつけたいアイゼンハワーマトリクス課題が複数出てきて着手順を決めたいとき
改善を継続的に回したいPDCAサイクル対策実行後の検証・改善を仕組み化したいとき
顧客自身の課題を引き出したいSPIN話法・BANT条件商談の場で顧客のニーズを深掘りしたいとき

見つけた営業課題への対策

課題を特定できたら、次は対策の検討に進みます。対策は課題の内容によって大きく異なりますが、多くの営業課題は次の4つのカテゴリーのいずれかに整理でき、カテゴリーごとに有効な打ち手の方向性がある程度共通しています。

組織・プロセスの課題への対策

商談から受注までのプロセスが標準化されていない、部門間の連携が取れていないといった課題には、営業プロセスの可視化と標準化が有効です。各ステージで何を確認し、次にどう進めるかを明文化し、SFA・CRMなどのツールで進捗を一元管理できる状態を作ります。

人材・スキルの課題への対策

提案力や商談スキルにばらつきがある、育成が追いついていないといった課題には、成功パターンの言語化と研修への落とし込みが有効です。トップ営業の商談プロセスやトークをヒアリングし、マニュアルやロールプレイ研修の教材として展開することで、個人のスキルに依存しない組織的な底上げにつながります。

顧客関係の課題への対策

既存顧客の離脱や、新規開拓の伸び悩みといった課題には、顧客接点の見直しとフォロー体制の強化が有効です。失注・解約理由を定期的に分析し、フォローのタイミングや提案内容にフィードバックする仕組みを作ります。

ツール・データ活用の課題への対策

顧客情報が個人管理になっている、データが分散して分析に使えないといった課題には、CRM・SFAなどのツール導入・活用の見直しが有効です。ただし、ツール導入自体が目的化すると定着せず形骸化するため、「何を可視化し、どう営業活動に反映させるか」を先に定義したうえで選定・導入することが重要です。

いずれの対策も、実行して終わりではなく、ステップ5で紹介したPDCAサイクルに乗せて効果を検証し、必要に応じて修正を加えていくことで、成果につながる打ち手へと磨き込まれていきます。

営業課題の特定でよくある3つの失敗

課題特定の場面では、次の3つの失敗がよく見られます。事前に把握しておくことで、精度の高い課題特定につながります。

データだけで判断し、現場の実感を無視する

数字は客観的ですが、「なぜその数字になったのか」という背景までは語りません。データ分析だけで結論を急ぐと、現場の実態とかけ離れた対策を打ってしまうことがあります。数字で当たりをつけたら、必ず現場ヒアリングで裏付けを取る習慣をつけましょう。

「症状」を「課題」だと勘違いする

「若手が育たない」「モチベーションが低い」といった言葉は、多くの場合、より根本的な原因が引き起こした結果です。表面的な言葉をそのまま課題として扱うと、対策が的外れになります。「なぜそう感じるのか」を最低でも2〜3回掘り下げてから、対策を検討することをおすすめします。

一度きりで終わり、継続的に見直さない

営業課題の見つけ方は、一度実施して終わりではありません。市場環境や顧客の行動は常に変化するため、四半期に一度など、定期的に同じプロセスを繰り返すことで、新たに生まれた課題にも早期に気づけるようになります。

よくある質問

Q. 営業課題が何も見つからない場合はどうすればいい?

数字上は問題がなくても、現場や顧客の視点からは課題が見つかることがあります。数字・現場・顧客の3つの視点をすべて確認せずに「課題なし」と判断していないか、まず見直してみてください。それでも見つからない場合は、競合他社や業界平均の水準と自社の数字を比較してみることで、相対的な課題が見えてくることがあります。

Q. 課題を見つけたあと、何から着手すべき?

洗い出した課題を「影響度」と「緊急度」で分類し、両方が高い課題から着手するのが基本です。着手する課題は一度に1〜2個に絞り、対策の効果を検証してから次の課題に取り組むことで、改善の因果関係が把握しやすくなります。

Q. 一人でもできる営業課題の見つけ方はある?

ステップ1(目標と実績のギャップの数値化)とステップ2(営業プロセスの分解)は、SFAやCRM、あるいは表計算ソフトのデータがあれば一人でも着手できます。一方でステップ3の現場ヒアリングは、複数人の視点を集めることで精度が上がるため、可能であれば同僚やマネージャーを巻き込むことをおすすめします。

まとめ|営業課題の見つけ方は「仕組み化」がカギ

営業課題の見つけ方は、特別な才能やセンスではなく、数字・現場・顧客という3つの視点を順序立てて確認する手順を身につけることで、誰でも再現できるようになります。

今回紹介した5つのステップとフレームワークを使えば、「なんとなく問題がありそうだ」という感覚を、根拠のある具体的な課題に落とし込めます。そして、一度きりで終わらせず、定期的に見直す仕組みとして組み込むことが、変化の早い営業環境で成果を出し続けるための土台になります。

まずは、直近の目標と実績のギャップを数値で確認するところから始めてみてください。