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自治体への営業電話で成果を出すコツ|最適な時期・時間帯から受付突破のトーク術まで
「自治体に何度電話しても、受付で断られてしまう」
「担当者に繋がっても、『予算がない』『間に合っている』とすぐに切られてしまう」
自治体向けの営業(BtoG営業)を検討されている企業担当者様の中には、このような壁にぶつかっている方も多いのではないでしょうか。民間企業と同じ感覚でテレアポを行うと、自治体営業はうまくいきません。
しかし、自治体特有の「作法」と「タイミング」さえ押さえれば、決して攻略不可能な領域ではありません。むしろ、Webマーケティングに反応しない決裁者層に直接アプローチできる有効な手段となり得ます。
本記事では、自治体営業のプロも実践している、アポ率を高めるための「時期・時間帯」の選び方から、受付を突破するための具体的なトークスクリプトまでを網羅的に解説します。
そもそも自治体に「営業電話(テレアポ)」は有効なのか?
結論から言うと、自治体への営業電話は非常に有効です。
メールや問い合わせフォームからの営業メールは、セキュリティの関係で開封すらされないケースも多々あります。
一方、電話であれば、ターゲットとなる課の担当者や、決裁権を持つ「課長・係長クラス」と直接会話できるチャンスがあります。
ただし、成功させるためには民間企業向けとは異なる「考え方」と「知識」が必要です。

「売り込み」ではなく「課題解決への貢献」
自治体職員(公務員)は、「利益」ではなく「公益(住民サービスの向上や地域課題の解決)」のために働いています。
そのため、「安くなります」「売上が上がります」といったセールストークは響きません。
- NGな考え方: 自社商品を売り込みたい
- OKな考え方: 自治体の課題解決に貢献したい
この「解決」「貢献」のスタンスと、誠実な態度で接することが重要です。
自治体の代表電話は市民からの問い合わせも多く受けているため、丁寧かつ誠実な態度であれば、民間企業の受付よりも取次ぎ自体はされやすい傾向にあります。
アポ率を劇的に高める「事前リサーチ」と「部署特定」
自治体営業で失敗する最大の要因は「準備不足」です。
「とりあえず総務課にかけて担当を聞こう」というスタンスでは、たらい回しにされるだけです。
架電前のリサーチで勝負の8割は決まります。
1. 組織図(機構図)で「課・係」まで特定する
自治体のホームページには必ず組織図が掲載されています。 「ご担当者様」ではなく、「〇〇課の〇〇係の方」、名前までわかるのであれば「〇〇係長の〇〇様」とピンポイントで指名することで、受付突破率は格段に上がります。
2. 目を通すべき「自治体の3つの資料」
電話をかける前に、ターゲット自治体が公開している以下の資料を確認し、「相手が今、何に困っているか」を仮説立てします。
- 総合計画(後期基本計画など): 自治体の今後5〜10年の指針が書かれています。ここに書かれているテーマ(例:DX推進、子育て支援など)に関連する提案であれば、話を聞いてもらえる確率は跳ね上がります。
- 予算書・事業計画書: どの事業にいくら予算がついているか、または予算がつこうとしているかを確認します。予算のない事業に提案しても、今年度の受注は不可能です。
- 議会議事録: 議会で議員から厳しい追及を受けている分野は、担当課が「困っている(解決策を探している)」可能性が高いホットな領域です。
3. 具体的な提案の準備
上記資料で見つけた「数値目標」や「予算項目」と自社サービスを紐づけて話す準備をします。
例:「総合計画で掲げられている『申請業務のオンライン化率〇〇%』の達成に向けて、他市で実績のある弊社ツールがお役に立てると思い…」
【重要】自治体へのテレアポは「時期」と「時間帯」が命
どれだけ良い提案でも、タイミングを間違えれば予算化されません。
自治体のカレンダーに合わせて動くことが鉄則です!
自治体予算編成の「年間スケジュール」(予算サイクル)
- 4月〜6月(情報収集期):【挨拶・種まき】 新年度が始まり、異動してきた担当者が業務整理を行う時期です。新しい施策の情報収集ニーズがあるため、「ご挨拶と情報提供」という名目でのアプローチが有効です。
- 7月〜9月(予算要求期):【最大のチャンス】 次年度の予算編成に向けて、各課が資料を作成する時期です。この時期に「予算見積書」や「提案書」を提出できれば、来年度の予算に組み込まれる可能性が高まります。ここでアプローチできるかが勝負の分かれ目です。
- 10月以降(予算査定期・繁忙期):【難易度・高】 提出した予算案の内部審査が行われる時期です。新たな提案を受け入れる余裕は少なくなります。
- 1月〜3月(年度末・議会):【避けるべき】 議会対応や年度末処理で最も忙しい時期です。この時期のテレアポは迷惑がられる可能性が高いため避けましょう。
つながりやすい「曜日」と「時間帯」
公務員の業務パターンを考慮し、在席率が高く、比較的心理的余裕がある時間を狙います。
- ゴールデンタイム:
- 9:00〜10:00: 朝礼が終わり、本格的な業務に入る前の時間。
- 13:00〜14:00: 昼休憩明け。午後の会議が始まる前の隙間時間。
- 避けるべき時間帯:
- 8:30〜9:00: 始業直後の朝礼・メールチェック中。
- 12:00〜13:00: 昼休憩(一斉に休憩を取る自治体が多いです)。
- 17:00以降: 終業間際のラストスパート中。
- 避けるべき曜日:
- 月曜午前: 週定例ミーティングが多い。
- 金曜午後: 週末に向けた業務処理で忙しい。
受付突破&担当者に響くテレアポのトーク術【スクリプト例】
事前準備とタイミングが整ったら、いよいよ架電です。ここでは具体的なトークスクリプトを紹介します。
1. 受付突破:会社名よりも「用件」を明確に
受付(交換手)のミッションは、適切な部署に電話を回すことです。「営業はお断り」というフィルターを通過するために、具体的な「部署名」と「公的な資料名」を出します。
【受付突破トーク例】 「お忙しいところ恐れ入ります。株式会社〇〇と申します。 御庁の『総合計画』に記載のありました〇〇事業の件で、ご担当の〇〇課・〇〇係長はいらっしゃいますでしょうか?」
※「事業の件で」と伝えることで、単なる売り込みではなく、業務に関連する連絡だと思ってもらえます。
2. 担当者へのフロントトーク:ヒアリングを重視する
担当者につながったら、一方的にサービスの説明をしてはいけません。「相手の役に立ちたい」という姿勢で、まずは課題を引き出す(ヒアリングする)ことに注力します。
【担当者トーク例】 「突然のお電話失礼いたします。株式会社〇〇の田中と申します。 現在、御庁の〇〇事業において、〇〇のような課題感をお持ちではないかと思い、ご連絡いたしました。 実は、近隣の〇〇市様でも同様の課題があり、弊社の事例で解決につながったケースがございます。もしよろしければ、情報提供だけでもさせていただけないでしょうか?」
3. アポイントのゴール設定:オンライン商談の活用
いきなり「訪問させてください」というのはハードルが高いです。まずは資料送付や、負担の少ないオンライン商談を打診しましょう。
【クロージングトーク例】 「詳細な資料をお送りしたいのですが、メールアドレスを教えていただけますでしょうか? もし可能であれば、来週ご都合の良い時に15分ほど、Zoom等で画面共有しながら他市様の事例をお見せできればと思うのですが、いかがでしょうか?」
自治体への営業電話でやってはいけないNG行動
最後に、これだけはやってはいけないNG行動を紹介します。
- 一方的な押し売り・専門用語の多用 自治体職員は、数年ごとに全く異なる部署へ異動するジェネラリストです。業界の専門用語(カタカナ語など)を多用すると、理解されずに拒絶されます。「行政用語(庁内用語)」に合わせて話す配慮が必要です。
- 議会開催中の架電(3月・6月・9月・12月) 年4回の定例会(議会)の時期は、職員は答弁書の作成などで極めて多忙です。この時期のテレアポは「空気が読めない業者」としてブラックリスト入りするリスクすらあります。
- 代表電話への無差別なローラー作戦 部署も調べずに「担当の方をお願いします」とかけ続けるのはやめましょう。効率が悪いだけでなく、庁内で悪評が広まる可能性があります。
まとめ
自治体への営業電話(テレアポ)成功の鍵は、以下の3点に集約されます。
- 公益性と誠実さ: 「売り込み」ではなく「地域課題解決のパートナー」として振る舞う。
- 徹底的な事前リサーチ: 総合計画や予算書を読み込み、ピンポイントで部署・担当者を指名する。
- 最適なタイミング: 予算要求期(7〜9月)を狙い、相手がつながりやすい時間帯(9時・13時)にかける。
これらを意識するだけで、門前払いされていた電話が、「ちょうどそういう情報を探していたんだ」と歓迎される電話に変わります。まずはターゲット自治体のホームページを開き、組織図と総合計画を確認することから始めてみてください。
