COLUMNS コラム
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展示会後のアフターフォローを成功させる具体的な方法と手順について
展示会は出展して終わりではありません。展示会の成果は、展示会後のフォローアップで大きく変わります。
出展企業の多くは、膨大なコストと時間をかけて出展準備をしますが、「展示会後のフォローアップ(アフターフォロー)」で驚くほどの機会損失をしています。
多くの企業が展示会への投資を回収できずに悩む中、適切なアフターフォローを実施することで、展示会のROIを劇的に改善することが可能です。
展示会の投資対効果(ROI)を最大化し、獲得したリード(見込み客)を優良顧客へと育てるための、具体的かつ網羅的なフォローアップの「手順」と「成果を高める方法」を、展示会フォロー営業を代行してきた私たちの経験を交えながら徹底的に解説します。
なぜ展示会フォローが重要なのか
そもそも、なぜアフターフォローがそれほどまでに重要なのでしょうか。理由は3つあります。
1.見込み客の熱量を逃さないため
来場者は、貴社のブースだけでなく、何十ものブースを訪れています。閉幕後、彼らの記憶は急速に薄れていきます。興味・関心度が最も高い「展示会直後」にアプローチすることで、商談化の可能性を飛躍的に高めることができます。
2.競合他社に差をつけるため
フォローを躊躇している間にも、競合他社は次々とアプローチをかけています。迅速かつ丁寧なフォローアップは、企業の信頼性を高め、競合に対する優位性を確立する上で不可欠です。
3.ROI(投資対効果)を最大化するため
展示会への出展には、多額の費用がかかります。交換した名刺一枚一枚を「コスト」ではなく「未来への投資」に変えるのがフォローアップの役割です。丁寧なフォローで受注に繋げてこそ、初めて投資を回収できるのです。
展示会フォローの現実と課題
展示会後のフォローコールをお手伝いしてきた経験から言えることは、多くの企業が展示会後の迅速なフォローを行えていないという事実です。
実際、株式会社マーケライズ社が2024年4月に実施した展示会出展に関する調査(有効回答167名)によると、展示会来場者へのフォローを「1週間以内」に実施している企業は34%に留まっており、多くの企業が「1週間〜1カ月以内」(63%)にフォローしているという結果が出ています
来場者は展示会で多数の企業と接触します。そのため。展示会終了から時間が経つほど、展示企業への記憶は薄れていきます。
競合他社よりもいち早くフォローすることが、自社の認知度を高める重要なプレゼンスとなります。
展示会フォローがもたらす具体的な効果
適切な展示会アフターフォローを実施することで、以下の効果が期待できます:
- 商談化率の向上: 適切なフォローにより商談化率が向上します
- 成約率の改善: 継続的なフォローにより、長期的な成約率が高まります
- 顧客単価の増加: 信頼関係構築により、より大きな案件での受注が可能
- リピート率の向上: 適切な関係性維持により、継続取引の確率が向上
展示会フォローの基本手順
ステップ1: 展示会終了直後の整理(展示会当日~翌日)
ここからは、展示会閉幕後の具体的なアクションを時系列で解説します。
まずは獲得した名刺情報をデータ化して以下の情報を整理しましょう。
1. 名刺・リード情報の整理
- 収集した名刺をスキャンまたはデジタル化
- 名刺交換時のメモや会話内容を記録
- 来場者の興味・関心度をA、B、Cランクで分類
2. 展示会での約束事項の確認
- 資料送付の約束をした相手のリストアップ
- デモンストレーションの約束をした相手の整理
- 具体的な商談アポイントの約束をした相手の確認
3. チーム内での情報共有
- スタッフ間での来場者情報の共有
- 重要度の高い見込み客の情報統合
- フォロー担当者の決定
ステップ2: フォロー優先順位の決定(展示会翌日以降)
次に、収集した見込み客を以下の基準で分類し、フォローの優先順位を決定します
Aランク(最優先フォロー対象)
- 具体的な導入時期や予算を持っている
- 決裁権者またはキーパーソンである
- 競合他社との比較検討段階にある
- 展示会で具体的なアポイントを取った
Bランク(中期フォロー対象)
- 将来的な導入を検討している
- 情報収集段階だが興味を示している
- 担当者レベルでの接触
- 業界や規模が自社ターゲットに合致
Cランク(長期フォロー対象)
- 現時点では具体的なニーズが不明
- 情報収集のみの目的で訪問
- 学生や競合他社など、直接的な見込み客ではない可能性
ステップ3: 24時間以内の初回フォロー
展示会での印象が新鮮なうちに、24時間以内に初回フォローを実施することが重要です。
展示会フォローを数多く支援してきた経験から言えることは、「初回フォローは24時間以内のアクションが効果的」だということです。理想を言えば、会期当日の夕方か、遅くとも翌営業日の午前中には第一報を入れるのが望ましいです。
展示会フォロー手法別の実践方法
展示会フォロー メールの効果的な活用法
メールは展示会フォローの基本ツールです。効果的なフォローメールの作成方法をご紹介します。
初回フォローメールの構成例
件名: 【〇〇展示会】貴重なお時間をいただき、ありがとうございました
〇〇様
〇〇展示会では、貴重なお時間をいただき誠にありがとうございました。
株式会社〇〇の〇〇と申します。
展示会では、〇〇についてお悩みをお聞かせいただき、
弊社の〇〇ソリューションにご興味をお持ちいただけたこと、大変嬉しく思っております。お約束させていただきました資料を添付いたします。
特に〇〇の部分について、〇〇様のご要望に沿った内容となっており、
〇〇の課題解決にお役立ていただけるものと確信しております。資料をご確認いただき、ご不明な点やより詳細な説明をご希望の場合は、
お気軽にお声がけください。よろしければ、〇〇様のご都合の良いタイミングで、
オンラインまたは対面でのご説明の機会をいただければ幸いです。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
メールフォローのポイント
- 相手の課題や関心事を明確に記載
- 次のアクションを具体的に提案
- 添付資料は相手のニーズに合わせてカスタマイズ
展示会フォロー 電話の戦略的活用
電話によるフォローは、メールよりも直接的で効果的な側面があります。実際に電話で話してみると意外なニーズや課題をヒアリングできる場合があります。
効果的な電話フォローのタイミング
- 展示会から2-3日後(メール送信後のフォロー)
- 相手の業界や職種を考慮した適切な時間帯
- 月曜日の午前中や金曜日の午後は避ける
電話フォローのポイント
- 目的をアポイントに絞る
- 相手の都合を最優先に考慮
- 相手にとって明確なメリットを伝える
- トークスクリプトを用意する
展示会アフターフォローの成果を高める方法
1. パーソナライゼーションの徹底
一斉送信的なフォローではなく、一人ひとりに合わせたカスタマイズが重要です。
具体的な実践方法
- 展示会での会話内容を詳細に記録
- 相手の業界・職種に特化した事例を準備
- 企業規模や課題に応じた提案資料の作成
- 相手の関心事に合わせたコンテンツの提供
2. 継続的なナーチャリング戦略
一度のフォローで終わらせず、継続的な関係構築が重要です。
フォロースケジュール例
- 1日後: 初回フォローメール(資料送付)
- 2-3日後: 電話フォロー(資料確認・アポイント打診)
- 1~2週間後: お役立ち情報提供(事例紹介・ホワイトペーパー)
- 1ヶ月後: アップデート情報
- 3ヶ月後: 状況確認と新サービスやキャンペーン情報
3. 価値提供を重視したコンテンツ戦略
単なる営業メールではなく、相手にとって価値のある情報提供を心がけます。
価値提供コンテンツの例
- 業界トレンド分析レポート
- 同業他社の成功事例
- 課題解決のためのチェックリスト
- 業界専門家によるセミナー情報
- ツールやテンプレートの無料提供
4. マルチチャネルアプローチの活用
メールや電話だけでなく、様々なチャネルを組み合わせてフォローを実施します。
活用チャネルの例
- LinkedIn等SNSでのつながり
- 郵送による資料送付(重要案件)
- オンラインセミナーへの招待
- 展示会や業界イベントでの再会
- 紹介による間接的なアプローチ
フォロー効果を測定・改善する方法
KPI設定と効果測定
展示会フォローの効果を定量的に測定するため、以下のKPIを設定します。
主要KPI
- フォロー実施率(収集リード数に対するフォロー実施数)
- 反応率(フォローに対する返信・応答率)
- 商談化率(フォローから商談に発展した割合)
- 受注率(最終的な成約に至った割合)
- ROI(展示会投資額に対する売上効果)
PDCAサイクルの実践
継続的な改善のため、以下のPDCAサイクルを実践します。
Plan(計画)
- フォロー戦略の立案
- KPI目標値の設定
- リソース配分の計画
Do(実行)
- 計画に基づくフォロー実施
- 各種データの収集
- 進捗状況の管理
Check(評価)
- KPI達成状況の確認
- 成功・失敗要因の分析
- 競合他社との比較
Action(改善)
- 課題に対する改善策の実施
- 成功パターンの水平展開
- 次回展示会への反映
よくある失敗パターンと対策
失敗パターン1: フォローの遅れ
問題点 展示会から1週間以上経ってからフォローを開始し、見込み客の記憶が薄れている。
対策
- 展示会当日中の名刺整理の徹底
- フォロー担当者の事前決定
- 自動化ツールの活用による迅速なフォロー
失敗パターン2: 一律的なフォロー
問題点 すべての見込み客に同じ内容のメールを一斉送信している。
対策
- 見込み客の分類とランク付け
- 個別化されたメッセージの作成
- 相手のニーズに応じたコンテンツ提供
失敗パターン3: 短期的なフォローのみ
問題点 初回フォローのみで継続的なコミュニケーションを怠っている。
対策
- 長期的なナーチャリング戦略の策定
- 定期的なフォロースケジュールの作成
- CRMシステムによる管理の自動化
まとめ
展示会フォローは、展示会投資の成果を左右する極めて重要な活動です。適切なフォローにより、展示会のROIを大幅に改善することが可能です。
成功の鍵は以下の3つです
- スピード: 24時間以内の初回フォロー実施
- パーソナライゼーション: 一人ひとりに合わせたカスタマイズ
- 継続性: 長期的な関係構築を見据えたナーチャリング
展示会は「出展すること」が目的ではなく、「ビジネス成果を創出すること」が真の目的です。展示会への投資を最大限に活かすため、戦略的かつ継続的なフォローアップを実践していきましょう。
適切なフォローを実施した企業とそうでない企業では、最終的な成果に大きな差が生まれると言っても過言ではありません。
展示会フォロー戦略のアップデートにより、皆様のビジネスのさらなる飛躍につながることを願っております。
